この世の苦しみは、どうやったら生まれるのでしょうか?
今回は、これについて考えてみますね。
まず、おもいっきり単純に、この世界を二つに分けてみます。
実際には、そんなに単純なものではないのですが、とりあえず便宜上分けます。
これの分け方が、大切なのですが、
「コントロールできること」
「コントロールできないこと」
の二つに分けてみてください。
もっとわかりやすく、具体的に表現すると、
「自分ができること」
「自分にはできないこと」
この二つに分けて考えてみます。
ためしに、いろいろ考えてみましょう。
自分の右手を動かしてみてください。
自分の右手の親指や人差し指、手首などを動かしてみてください。
動きましたか?
手を怪我していないかぎり、普通の人は動かせると思います。
これが、「自分ができること」です。
つぎに、自分の心臓を止めてみてください。
動かしたり止めてみたり、やってみてください。
できましたか?
インドあたりのヨガの達人には、これができる人もいるらしいのですが、普通の人には、できないと思います。
これが、「自分にはできないこと」です。
自分の体重を、1年で5キロ、減らすことはできますか?
これは、ちょっとがんばれば、運動や食事制限で、ほとんどの人には可能だと思います。
これも、「自分ができること」です。
では、自分の身長を、1年で5センチ、伸ばすことはできますか?
年齢にもよりますが、20歳以上の人では、ほとんど難しいと思います。
外科手術では可能ですが、自力ではまず不可能でしょう。
これは、「自分にはできないこと」です。
つぎに、自分の左手を動かしてみてください。
これも、できると思います。
「自分ができること」です。
今度は、目の前にいる友人や恋人、家族などの他人の左手を動かしてみてください。
自分の思い通りに動かせますか?
まず、できないと思います。
これは、「自分にはできないこと」です。
このように、一度、「自分ができること」と「自分にはできないこと」について、この世界を、とことん分けて考えてみてださい。
こうやって考えてみると、意外なことに、「自分ができること」というのが、極端に少ないことに、気がつくと思います。
この世界の大原則として、
「自分は動かせるが、他人は動かせない」
というものが、あります。
あとは、
「努力は、自分ができる範囲だが、運は、自分のできない範囲である」
ということも、言えます。
よく、
「運を自在に動かすには、どうしたらいいか?」
というようなセミナーや書籍がありますが、これは、論理的に矛盾しています。
そもそも、「自分で動かせない力学」のことを、「運」というからです。
まあ、いろいろなテクニックを使って、その「動かせない範囲」を、「動かせる範囲」に拡大させることはできますが、
「運をぜんぶコントロールできる」
というのは、現在の人類の段階では、まだまだ難しいと思っています。
よく、精神世界や自己啓発のセミナーや書籍で、
「自分が願ったり考えたことは、全て実現する。夢はぜんぶ叶う」
「本当の自分は、全てのことを知っている」
という「教え」が、「真理」であるように、説かれていますが、実は、これらの考え方は、科学的に考えると、まだまだ、「仮説」の段階なのです。
「物事」というのは、「事実(ファクト)」と「意見(オピニオン)」に、分けて考えてみるとスッキリします。
たとえば、
「この世界は、人間の意識が創り出している」
というのは、「量子力学」などの素粒子の世界で、物理学者たちが、いろいろな実験や研究で確認され、実証済みです。
だから、これは、「事実」なのです。
でも、
「自分が願ったり考えたことは、全て実現する」
というのは、実は、実証や検証がされているわけではありません。
ここからは、再現性や反復性も、まだ未知数なのです。
たとえば、
「では、宝くじが当たると念じていれば、本当に当たるのか? 100%確実に10回連続で、1等賞を当てた人がいるのか?」
と考えた場合、実は人類の歴史上、一人もいないということがわかります。
実証もされていないし、仮にされたとしても、まだまだ再現性が、とても難しい段階だと思います。
ということは、
「自分が願ったり考えたことは全て実現する。夢はぜんぶ叶う」
ということは、「仮説」であり、また、その本の著者やセミナー講師の「意見」であるということになります。
これが、「事実」だということを立証するには、
「まず、自分がやってみせること。それを何回繰り返しても、再現できるということを示すこと。最終的には、誰がやってもできるということも、キチンと示すこと」
これだけのことを、やらなくてはいけません。
「本当の自分は、全てのことを知っている」
という考え方にしても、実はこれも、だまだ、「仮説」の段階です。
「本当の自分」という定義も、いまいちですし、この中の「全て」というのが、
「どこから、どこまでのことを言っているのか?」
というのも、よく定義されていないのです。
具体的には、
「全てのことを知っているのであれば、センター試験の模擬試験で、全科目、満点の点数がとれるのか? 全てがわかるのであれば、1年後の株式市場の動向なども、正確に当てられるのか?」
ということです。
これも、自分が知っている範囲の中で、100%当ててみせた人はいません。
実証はされていないのです。
これも、「事実」ではありません。
その本の著者やセミナー講師の「意見」であるということになります。
わかりやすく言うと、
「精神世界の教えの中には、いかにも事実や真理であるかのように、思われてるが、実際には、まだまだ仮説であったり、個人的な意見である思想が多い」
ということです。
さらに言うと、
「事実だと認められたわけではなく、まだまだ、信仰の対象であるというものが、たくさんある」
こういうことなのです。
このあたりも、一度ご自分で、とことん考えて整理してみるといいと思います。
夢を思い描くのは、モチロン素晴らしいことなのですが、こういう冷静で客観的な視点も大事なのです。
どうして、こういう理屈っぽい話を、わざわざやるのかるというと、
「この世の苦しみのほとんどは、自分ができないことを、やろうとすることによって生じている」
ということに気がついたからです。
逆に言えば、
「この世の苦しみというのは、自分ができることだけを、やっていれば生じにくい」
ということです。
ビジネスなども、自分がコントロールできることだけを、毎日真面目にコツコツやるだけで、実は確実に成功できるのです。
ボロ儲けしたりは、できないかもしれませんが、とりあえず、自分が生活できるだけの収入くらいは、入ってくるでしょう。
しかし、これを自分のコントロールできないこと、株価の変動や為替相場などに依存すると、再現性や反復性もないので、いつかは行き詰まり、苦しくなる可能性が大きいです。
人間関係などでも、ほとんどの苦しみは、相手に過度に期待したり、相手をコントロールしたり、束縛しようとすることから生じています。
だから、何かで悩んだときには、
「これは、自分がコントロールできる問題なのだろうか? それとも、自分にはコントロールできない問題なのだろうか?」
ということを見極めることが、とても大切な作業になってきます。
間違っても、多くの精神世界の本に書いてあるような、
「全ては自分が創り出しているから、意識や態度を変えれば全てが変わる」
ということを、過度に期待しないほうがいいと思います。
これらは、「事実」ではなく、その著者の「意見」だからです。
「状況によっては、有効であることも多いし、かなり使えるテクニックである」
くらいに、思っていたほうがいいです。
絶対視は、危険だということですね。
この二つに分けて考える作業を、大切にしてください。
「自分ができることは、全力で集中してがんばる。そして、自分にはできそうもないと判断したら、誰かに助けてもらうか、時期を待つか、もしくは、全てをやり終えた後に天に任せる」
という姿勢で、人生の問題に臨んでみてください。
「頭がいい人」というのは、この作業が、とてもうまい人だと思います。
「思考」や「判断」というのは、とても貴重なエネルギーです。
このエネルギーの無駄遣いを防ぐだけで、幸せになれるし、「この世の苦しみ」から、かなり楽になります。
「この世の苦しみ」のほどんどは、「自分ができること」と「自分にはできないこと」の区別がわからないことに、原因があります。
一度、これについて、とことこん考えてみてくださいね。
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