精神世界の鉄人

UFOやチャネリング、霊、輪廻、超古代文明などの不思議な話題から、ビジネス、経済、政治、歴史、文化などの社会問題、そして、恋愛や結婚、ダイエット、旅などの現実的な話題まで、幅広く、日々感じたことを、書き綴ってみますね。

白の暴力

先日の東京セミナーの後の懇親会で、昔からの読者の方から、

「トーマさんのブログ記事の中で、一番好きなのは、『白の暴力』です。また書いてください」

と言われたので、リクエストにお応えして、再掲載させていただきます。

 

 
現在の地球上には、二種類の暴力があるそうです。

「黒の暴力」と「白の暴力」だそうです。

 

このうちの「黒の暴力」というのは、一般的な意味の暴力です。


暴力団や闇金融、不良少年、暴走族、盗賊、泥棒、ギャングなどの集団が、一般の善良だと言われている人たちに対して行う暴力です。

いやがらせ、恐喝、リンチ、暴行などです。

この「黒の暴力」は、わりとわかりやすく、理解がしやすいため、適切な対処がたくさん考えられています。

対抗策もたくさんあり、組織も、警察、弁護士、裁判所、自警団など、すでにたくさんあります。


この暴力の特徴は、

「罪を犯している本人に、罪の意識がある」

ということです。

つまり、行為を犯している当事者に、

「自分は、悪いことをやっている」

という意識があることです。

 

一方、「白の暴力」は、現在、水面下で問題になっている暴力です。


宗教団体、狂信的な思想集団などが、一般の人たちに、無理強いする布教活動、洗脳、思想の押し付け、マインドコントロールなどです。

大変にわかりにくく微妙で、なかなか判断も理解もしにくいため、あまり社会の表面に登ってきにくいものです。

これに対抗するような組織は、ほとんどありません。


これの特徴は、

「罪を犯している本人に、罪の意識がない」

ということです。

行為を犯している当事者は、

「自分は、悪いことはやっていない」

という意識で、動いているということです。

 

わかりやすい例を、挙げましょう。


例えば、経験した人も、多いと思いますが、昔、アパートで一人くらしをしていた頃、よく経験したのですが、アパートには、よく新聞の勧誘などが来ました。

やくざのような勧誘員も来て、しばしば喧嘩になったりしました。

しかし、このやくざのような勧誘員たちは、よく観察すると、けっこう純粋なところがあったり、必死になって、売り込みしている様子も感じられ、ちょっと気の毒になったり、逆に可哀想に思ったり、最後には仲直りしたり、いろいろ人間くさいドラマも生まれ、現在では楽しい思い出として、心に残っています。


やっかいだったのは、宗教団体の勧誘です。

彼らは、

「自分たちは、絶対正しいことをやっている」

という信念をもっているので、こちらがどんなに断っても、

「あなたはまだ気がついていない。目覚めていない。私たちが目覚めさせてあげよう」

という姿勢で来るので、話がやっかいなのです。

宗教や宗教団体自体は、特に悪いとは思っていません。

自分もいままでに、いろいろ経験したので、その素晴らしさやメリットも十分わかっています。

ただ、この強引な勧誘、または巧妙な誘いには、よくウンザリさせられました。

現在では、これがもっと複雑で細かくなり、この「白の暴力」の問題は、わかりにくなっています。

「黒の暴力」のほうは、このままほっておいても、時間とともにいい方向に行きそうな気がしますが、「白の暴力」のほうは、ますます難しくなってくるでしょう。

 


アメリカに住んでいた頃、ある年上の男性と、ルームメイトのような感じで一時期、一緒に住んだことがあります。

この人は、いわゆる、「潔癖症」でした。

病的に清潔好きなのです。


外出から帰ってくるなり、すぐに家の中をチェックして汚れていると、

「トーマ君また、ここが汚れているよ! まったく、君はどうして、こんなにダラしないんだ。君は子供頃、お母さんから、掃除の仕方も習わなかったのか? いいかげんにしてくれよ!」

いきなり怒鳴りつけたり、ネチネチと文句を言ってきたりするのです。

こちらは、

「このぐらいの汚れで、怒ることもないだろう…?」

と思うほどの汚れなのですが、彼はこの汚れが許せないようで、30分くらいかけて、いろいろな薬品を使って、拭き掃除していました。

掃除以外にも、買い物やテレビの見方、本の読み方、食事のマナーなども、大変細かく、いちいち注意されたり、文句を言われたりしていました。


そのうち会うと疲れるので、次第に時間をズラし、なるべく家では、彼と顔を合わせないようにしていました。


彼のその当時の口癖が、

「俺は間違ったことは、言っていないぞー!」

でした。

確かに間違ったことは、言っていないのです。

彼の言っていることは、全部正しく、非の打ち所が全くないのです。

でも、だから最悪なのです。

正しいために、

「自分が悪かった」

「自分は間違っていた」

という考えにならないのです。


結果として、反省することが全くなく、いつまでも、

「悪いのは相手だ」

「相手が馬鹿で間違っていた」

という結論で終わっているのです。


彼は、私以外の人間ともトラブルが多く、何かのミーティングなどで、誰かが5分遅刻しただけで、皆の前で、その遅れてきた人を怒鳴りつけたりして、たくさんの人から、嫌われていました。

とにかく四六時中、人とトラブルばかり起こし、そのたびに、

「俺の周りにいる連中は、皆、馬鹿ばっかりだー!」

と周囲の人たちのせいにするのです。

「白の暴力」の典型的なパターンです。

 


「精神世界」という分野は、このパターンに大変なりやすい傾向があります。

この分野は、定義がしにくい言葉も多く、体験や理解度に、個人差も大きく、結論もでにくいものばかりだからです。

「正しさ」を判断基準に置くと、この「白の暴力」になりやすいです。

 

昔、ある地方で、個人セッションをやった時、女性のクライアントで、夫婦関係で苦しんでいる方が来ました。

長年主婦として、家族のために、一生懸命尽くしてきたことが話を聴いていて、すぐにわかりました。

でも、彼女の旦那さんが人格に問題があり、暴力もふるわれ、大変な年月を過ごしてきたようでした。

しかし、彼女はある宗教団体に入信していて、そこの団体の偉い人に、その夫婦関係を、相談したら、

「あなたは感謝が足りないのです。それは神様からの試練です。そういう夫にも、感謝することが、霊性を向上させることに必要なのです。殴られてもありがとうございますと言えるような人間になりなさい」

と、ずっと言われ続けてきたようでした。


キネシオロジーを使って調べてみました。

ためしに旦那さんに、向かって、

「ありがとう!」

と言っているのをイメージすると、身体中から、パワーが抜けるのがわかりました。

逆に旦那さんに向かって、

「ばかやろう!」

と言っているのをイメージすると、身体中にパワーがみなぎってくるのが、わかりました。


この検査では、

「このクライアントは、旦那さんを馬鹿にしたほうがいい」

と判断しました。

「旦那さんに感謝などやらなくてもいいですよ。そんな酷い旦那は、馬鹿にしてもいいと魂が言っていますよ」

私が、彼女にこう言うと、ボロボロ涙を流した後、

「ありがとうございます。ようやく気持ちが楽になりました。ずーっと長年、この思いに縛られてきた自分が、今、鎖から解放されたようです。本当にありがとうございます」

と言われました。

話を聴いていて、こちらまで、目がウルウルしてしまいました。


「ありがとう」

という言葉自体は、とっても素晴らしいものです。

「感謝」も、たいへんに素晴らしいものです。

「許す」という行為も、もちろん大事なことです。

しかし、人間のやる行為は、どれでもケースバイケースです。

人や状況が違えば当てはまらないケースなど、いくらでもあるのです。

このクライアントの彼女の場合、

「感謝しなくてはいけない」

という「正しい教え」にずっーと縛られてきていたのです。
 

 

「赤ちゃんが、誰からも愛されるのは、周囲の人間の欠点や間違いを鋭く指摘しないからだ」

という金言が、ユダヤ教の「タルムード」の中にあります。

これは逆に言えば、人の欠点や間違いを鋭く指摘しすぎて、誰からも愛されなくなっている大人が、とっても多いということです。

そして、その欠点や間違いを鋭く指摘する時の武器として、必ず使われる道具が、「真理」などの「正しい教え」です。

 

もうひとつ、例を挙げておきましょう。
これも、個人セッションをやった時ですが、女性のクライアントとで、

「トーマさん、私は今までに、どこの職場に転職しても、必ず上司になった人から、いじめられます。私の周囲にいる人は、すべて私の鏡なので、これは全部私に、問題があると思います。すべての状況は、私の意識が引き寄せているのですから…」

と言われました。


彼女は、いろいろなカウンセラーやヒーラーのところに行き相談したようでした。

しかし、どこに行っても、下記のようなことを言われたそうです。

「すべての人は自分の映し鏡。すべての現実は自分の意識が原因。世の中に偶然はなく、全部、自分が選んだ必然」

という真実です。

これは、真実だと思います。

真理です。

まったく正しいのです。


しかし、この真実ばかりに、意識がフォーカスしすぎているために、彼女は、いつまでも、自分が悪いと思い込み、ひたすら自分を責めるという悪循環に、陥ってしまっているのです。

そこで視点を変えてもらうために、こう言いました。

「そうですか? 全部あなたの意識が引き寄せているのですか? しかし、私は、あなと会って話をしていても、いじめてやりたいとは思いませんよ。たしかに、あなたにも、なにか要因はあるでしょうが、周囲の人間にも要因はあります。あなたが転職した会社の上司が、たまたま偶然、そういう人たちだったという場合も、あるのですよ」

こう言ったあと、明らかに彼女の顔の表情が明るく、血色がよくなっていくのがわかりました。

 


「真理」、「宇宙の法則」、「高次元の意識」、宗教や精神世界で、「正しい」と言われているものが、逆に、人間を傷つけ、苦しめていることなど、たくさんあるのです。

「正しければいい」

というものではないのです。


このようなケースを避けるための道具の一つとして、私の場合は、「キネシオロジー」を、よく使います。

使い方にもよりますが、これは、「正しい」という問題よりは、「現在のクライアントの霊性の向上に、一番有益な方向」を示すのに、とてもバランスのとれた、いいヒントを、たくさん与えてくれるのです。

精神世界で、仕事をしている人、また、これからやりたいと思っている人たちに、ぜひ習得してもらいたいテクニック(道具)の一つです。

 


「白の暴力」には、他にも判断のつきにくい、複雑なケースが、たくさんあります。


例えば、親が子供をしつける場合や、会社で上司が部下をしかる場合、よく加害者のほうが、

「あなたのためを思ってやっているのです。これも愛情なのです」

という台詞を、言います。

これも、本当に愛情からやっている場合と、ただ単にストレス解消、八つ当たり、いじめ場合が、あります。

実際には、簡単に二つに分けられるものは少なく、これらの感情が複雑に絡んでいるため、加害者も被害者も、そして、周囲の人たちも判断ができず、全員がどうしていいかわからないケースばかりなのです。

 

学生の頃、M君という親友がいました。

とても、心の優しい男でした。

今考えると、彼も、「白の暴力」の犠牲者でした。


父親が、大学の教授で、毎日毎日、勉強のできない彼に、

「勉強しろ! 勉強しろ! 俺のように東大に入れ!」

と、叱っていました。

この父親の言っていることも、客観的に聞いていて正論でした。

確かに彼は、もっと受験勉強をがんばったほうが、いいようでした。

しかし、人には向き不向きもあるし、受験勉強を、どうしてもしたくない時もあるのです。

それでも、その父親は、

「自分の息子だから優秀なはずで、やればできるはず」

と思って、凄く厳しく指導していました。

多くの家庭に、見られる光景ですが、この場合、「白の暴力」に加えて、「愛情」も、加わっているのです。

しかも、この愛情も、「本物の愛情」なのです。


このM君は、それに耐えられずに、25歳頃、とうとう自殺してしまいました。

最後に、私の家に電話をかけてきたのですが、たままた旅行中で、電話に出ることが、できませんでした。

10件以上も、留守電の録音が残っていて、最後に、

「じゃあな…」

と寂しそうな声でつぶやいたのが、今でも耳に残っています。

 


「白の暴力」への対処法には、こういうやりかたがあります。

上記のアメリカのルームメイトの彼との話ですが、彼は、私が毎日、遊びほうけて暮らしていたのが面白くないらしく、当時よく説教をしてきました。

「トーマ君、人間はちゃんと真面目に働かないとだめだ。君のように遊んでばかりいては、将来、駄目な人間になってしまう。来週からでもすぐアルバイトでもやりなさい!」

ある日、めんどうくさくなったので、こう言い返しました。

「今、とっても幸せで満ち足りた生活を、自分はやっています。それなのに、あなたは、私のこの生活を壊して、別の生活をやれと命令している。そこまで命令するくらい自信があるんだったら、もし万が一私が、新しいアルバイトを始めて、その仕事が合わず、身体を壊して癌などの病気になり、病院に入院するようになったら、その入院費用まで、払ってくれるんでしょうね? 日本円でいくらくらい払ってくれるんですか? 100万円ですか? それとも、1000万円まで払ってくれるんですか? 今、ここで、契約書に金額を書いてサインしてください。責任もとれないのに無責任な発言を、やってるんじゃないでしょうね?」

こう言うと、彼は下をうつむいたまま黙り込んでしまいました。

「いや、トーマ君、そこまで自分は責任はとれない…」

ポツリと呟いて、その会話は終わりました。

 

このように、「白い暴力」をふるってくる人がいて、

「あなたのために言っている」

というような台詞を言ったら、すかさず、

「どこまで、その発言に責任をとれるのか?」

を確認するようにしたらいいです。
偽者の親切な発言は、すぐに化けの皮が剥がれます。

 


精神世界では、これからは、特に、「白の暴力」に、気をつけなくてはいけません。

地球が混乱している原因の多くも、「白の暴力」です。

宗教戦争のすべても、これです。

「自分は正しい。他の人たちが間違っている。自分だけが本当の神と繋がっていて、他の人たちは間違った神と繋がっている」

というものです。

 

他にも、

「肉を食べるのは、よくない」

「朝は早起きして、規則正しい生活をしなくてはいけない」

「タバコやアルコールは、身体によくない」

「人の悪口や蔭口は、絶対に言ってはいけない」

などなど、世の中には、「白の暴力」に、すぐに変わってしまう危険性のある「正しい教え」が、山ほどあります。

 

「どれが本物か?」

などというのは、大変に難しい問題なのです。

簡単に言えないのです。

「正しさ」を、基準にするというのは、とっても危うく、危険性をもっているのです。

戦争というのは、

「正義」と「悪」

が戦っているわけでは、ありません。

「正義」と「もう一つの正義」

が戦っているのです。

 


代替案としては、「正しい」ではなく、「楽しい」を基準にとったほうがいいような気がします。

「正しい」ことが、「楽しい」とは限りませんが、「楽しい」ことは、

「今の瞬間の自分には、正しい」

からです。

「白の暴力」に、お互いに気をつけましょう。

つねに、

「自分は間違っているかもしれない。自分は一番ではないかもしれない」

という謙虚な問いかけは、大切だと思います。

 

 

オマケの写真です。

 

写真は、裁判所や法律事務所など、司法関係の場所に、よく飾られている、「正義の女神で(Lady Justice)」です。

天秤は、正邪を測る「正義」を、剣は、「力」を象徴していて、

「剣なき秤は無力、秤なき剣は暴力に過ぎず、法はそれを執行する力と両輪の関係にある」

ということを、表現しているそうです。

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フランス革命の時も、「白の暴力」が、吹き荒れました。

「正義」の名のもとに、たくさんの人々が、ギロチン台で殺されました。

多いときは、一日に数百人が殺されたそうです。

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これは、マリー・アントワネットが、ギロチン台に連れて来られた時の絵です。

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ちなみに、大昔から、世界中で、王様というのは、「愛人」を持つ人が多いですね。

これは、ある歴史学者によると、そういう契約が、どこの国でもあったのだそうです。

つまり、愛人という存在は、王様とお付き合いして、なんでも買ってもらえて、一生、死ぬまで贅沢三昧の生活をすることができたそうです。

 

そのかわり、革命などが起きて、いざ、王様や王妃、そして、その子供たちの身が危険にさらされた時には、

「全部、この愛人である、この女のせいです! 私たちの家族は、この悪魔のような女性に、騙されて酷い目に遭っていたのです!」

こう言って、全部を愛人のせいにして、身を守ることができたのだそうです。

 

しかし、当時の夫であるルイ16世が真面目過ぎて、

「私は、マリー・アントワネットだけを愛している。愛人など持つことはできない」

と言って、愛人を持つことを拒んだそうです。

 

それで、王妃であるマリー・アントワネットまで、ギロチンで処刑されるという悲劇が起きたのだそうです。

だとすると、ルイ16世とマリー・アントワネットの夫婦も、

「浮気をしたり、愛人を持つことは悪いことだ!」

という「白の暴力」の被害者でもあったのかもしれません。

 

 

 

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